SOULMATICS MEMBER'S留学記

 

名前:Natsuko Takagi

 

留学先:ボストン

 

国:アメリカ

 

留学年:2006

私は2006年4月から2007年5月までアメリカのボストンに留学しました。3ヶ月間、語学学校に通い、その後は世界で唯一、クラシックではなくジャズやポップス、ロック、R&Bを学ぶ音大、Berklee College of musicで音楽を学びました。

SOULMATICSではまず英語をしっかり勉強する為に授業料も安く、治安もいいオーストラリアに留学するメンバーが殆どですが、私は一刻も早くバークリーに行って音楽の勉強をしたいという気持ちと、2004年にダメもとで受けたBerkleeのワールドスカラーシップオーディションで$7,000の奨学金を頂いたのですが、2年以内に入学しない場合は無効となる、という事もあり、直接ボストンに行く事を決めました。もし、時間とお金に余裕があれば、やはりまずしっかり英語を学ぶ事をお勧めします。学校の授業では音楽用語を覚え、先生の言っている事さえ理解できれば授業は問題ありませんでしたが、やはり深く人とコミュニケーションをとるところまではなかなかうまくできませんでした。

とはいえ、私がアメリカで学んだ事は、これからの私に欠かせない時間となりました。まずは音楽的に言えば、18歳で音楽の専門学校に入学して以来8年間、幸運にも一生ついて行こうと思える師と出逢い、共に歌う仲間と出逢い、たくさんの現場でシンガーとしてお仕事をさせて頂く事ができました。その中で、経験だけ積んでもカバーできない部分がやはり出てきて、もっと音楽を勉強したい、知らない事を知り、まだできない事をできるようになりたいという欲がどんどん大きくなっていました。そしてアメリカにいたこの1年はひたすら知識を詰め込む充電期間となりました。

バークリーではあり得ない位の宿題の量に驚かされ、授業以外に毎日6~7時間は宿題に費やされました。譜面を書き過ぎてペンを握る指が筋肉痛、関節痛になりました。でも、それはやらなくてはいけない事がとても明確という事であり、出される宿題をただひたすらやれば、知らずにそれが力になっている事を実感できる日々でもありました。(日本にいた時の多くの先生や現場にいる方々は、何が出来ていないかは指摘してくれるけど、どうすれば良くなるかまでは教えてくれない場合が多いですから、、、)結果、一つB+をくらいましたが、それ以外はオールAを取得し、成績優秀者リストに載る事も出来ました。

さて、興味のある方がいらっしゃると思うので、私がどんな授業を履修していたか、大まかにリストアップしてみます。(ちょっと音楽的になるので興味のない方は飛ばして下さい)

 

 

【イヤートレーニング】

リズム、メロディー、ソルフェージュ、コードの読み書き

 

【音楽理論】

 

【ライティングスキル】

ではなく譜面をきれいに正しく書く練習をする

 

【アレンジング】

ロック、ファンク、ボッサ、ラテン、スウィング、、、など、テーマごとにドラム、ベース、ギター、ピアノ、メロディーを様々な曲からまずパターンを学び、実際に自分でアレンジしていく

 

【JAZZラボ】

毎週新しい曲をピアノ伴奏で歌います。伴奏用の譜面も自分で作成します

 

【R&Bラボ】

毎週新しい曲をピアノ伴奏で歌います。伴奏用の譜面も自分で作成します

 

【アメリカンディクション】

シンガーの為の、歌う時、美しく聴こえる発音を学ぶ

 

【インプロヴィゼーション】

アドリブと言われるものです。ブルースのコード進行でひたすらブルーノートスケールを使うとか、ペンタトニックをひたすら使う、とか、ジャズ、R&B、ゴスペルシンガーのインプロの仕方の違い、など、初歩の初歩から明確に教えてくれました

 

【リズム&グルーブ】

グルーブの違いを知り、自分の歌う曲のサイズ、イントロ、エンディングのアレンジ、キー設定、それをバンドに説明したり、キューを出す練習などなど、アンサンブルのクラスをとる為の準備クラス。自分の歌いたい曲の説明も自分でできないようなティピカル<典型的な>シンガーにはなるな!と先生がよく言っていました

 

【アンサンブル】

シンガーが自分で歌いたい曲を選曲できる分、譜面を作ったり、アレンジを明確にする事が求められました。そのかわりミュージシャンは初見や対応力を求められました。それぞれの初見能力やインプロの力量によってきっちりレベル分けされているのでかなり合理的

 

【ウーマンズクワイア】

アンサンブルの一つで、女性だけの少人数ゴスペルグループ

 

【アドバンスラボ】

主にステージング。MCをする時の内容や声色、マイクの握り方、視線、歩き方、どうやって分かりやすく美しくバンドにキューを出すか、オーディエンスとのコミュニケーション、、、などなど、超細かくて厳しくて、歌う授業の中では一番しんどいクラスでした。今でもとっても役に立っています

 

【プライベートレッスン】

発声などを習う人が多いですが、私は歌やインプロを見てもらっていました。素敵なのは、成績の半分は自分の先生から授業内評価、もう半分は全然知らない先生からテストされます。これによって、超客観的に何ができていて、何ができていないかより明確になるし、先生によってやる事が違いすぎる、教わるべき事をやっていないと、という事がない

 

【コンピュータミュージック】

入学時に買わされるMacを使い、音楽制作用ソフトの使い方やコンピュータミュージック用語などを習いました。英語がわからなきゃ厳しいのでこのクラスは絶対取りたくなかったのですが必修の為、懇願するも聞き入れてもらえず、予想通り唯一Bをとってしまった授業です。でもこれを受けたからこそ、オケを作れるようにもなりましたし、結局その後のアレンジの授業でもこれらのソフトを利用したので、とっておいて良かったです

 

 

私がとったクラスの数々は、まだどれもレベル的には低く、基礎の基礎を詰め込まれていったわけです。それでもあんなに大変だったのですから、4年後には晴れて一人前の音楽家の出来上がり、となるのも納得です。

マライヤキャリーのボストン公演コーラス参加の仕事は、バークリーのプロフェッサー(教授)の一人から声をかけて頂きました。と、言っても大げさなものではなく、ある日突然、Hey NATSUKO! Do you want to sing with Mariah?なーんて軽いメールが来たわけですが。そのプロフェッサーの紹介で何度か教会のミサで歌わせて頂いたり、シンフォニーホールでボストンポップスオーケストラと毎年共演する素晴らしいクワイアのディレクターを紹介してもらい、そのクワイアにオーディションで入れてもらう事が出来たのですが(実際はバークリーの宿題に追われ、あまり積極的にクワイアの活動に参加できなかったのが残念)

そして、音楽以外でもたくさんの経験をしました。アメリカでは寂しい事も悲しい事も多かったです。アメリカンドリームよりも目の前の現実は酷で、根深い問題を目の当たりにしました。特に住んでいた地域は治安が良いとは言えない所なので、夜は銃やパトカー、車の警報装置の音で何度も起こされました。いつもどこかで人々は怒鳴り合っていました。5分歩けば1人はホームレスか物乞いに立つ人に出会います。目の前でパトカーがすごい勢いで止まり、私のすぐ隣を歩いていた少年を警察が取り押さえていました。近所のスーパーで強盗があり、店員さんが射殺されたようです。ヴァージニア工科大学の乱射事件もちょうど私がボストンにいる頃の事件だったので街は悲しい空気に包まれ、韓国系の友人達は怯え(逆恨みされる恐れがあるからです)、大学関係者はとてもピリピリしていました。

日本にいると日本人は他の国に比べ、いじめ問題、自殺、自己主張がないなど、悪い意味で他の国との違いを聞かされる事の方が多い気がしますが、相手の事をまず思ったり、人の話をまず聞いたり、たとえコンビニの店員さんでも笑顔で応対してくれて、とても素敵な違いもたくさんあると気付きました。

日本のいじめや自殺は深刻な問題ですが、アメリカはいじめられて学校で銃を乱射する事件が起こる国なのです。また、旅行と違って生活するとなると契約やら手続きやら色々ありますがそんな時、アメリカ人のいい加減さ、アバウトさには、本当に悩まされました。おかげで必要とあればトリプルチェック、必要なければこっちもいい加減になっちまえという技を手に入れました。そうでないとこちらがヤラれます。

ボストンにいた1年は私の世界観と視野を大きく広げてくれました。困った時に、アメリカで出逢った人、また日本からたくさんの人達が助けてくれました。その恩返しの為にも私がアメリカで得た知識や技術を周りにいる人々に還元できればいいなと願っています。そしてまたいつか充電が必要になったら留学するのも素敵かもしれません。ちなみにバークリーもまだ退学等の手続きはとっておらず、在籍中の為、帰国後に旅行で渡米した3回とも入国審査で引っ掛かり、別室送りにされています。(バークリーの学生でもあるにもかかわらず、F1ビザなしに入国しようとしているから)

今度は昔、家族旅行して大好きになったハワイに留学したいかな?

 

April 2008

Natsuko Takagi

 

 

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