ソウルマティックスのワークショップが始まったきっかけは?
そしてソウルマティックスの持つ黒人のような力強い声の秘密は?


私はなぜ勉強するかが見えなくまったく勉強しない高校生活を送りました。
日本の音大に行く学力もなく、しかし将音楽を仕事にしたいという漠然な夢の中、
WE ARE THE WORLDのビデオを観て、そのプロデューサーであるクインシー・ジョーンズという存在を知り、作曲家や編曲家という存在にあこがれを持ち、クインシーの母校であるボストンのバークリー音楽大学で映画音楽を専攻しました。(現在、私が尊敬し、スタジオやステージでお世話になっていますゴダイゴのミッキー吉野さんもバークリー大卒で彼の存在も大きかったです。)

映画音楽作曲者としては指揮をする事が必然で
2年間クラシックの指揮法を学ぶ中、映画音楽以外に作曲法、編曲、合唱法(クワイア)、ピアノ伴奏、声楽、様々な事を学び、91年に帰国した後、ボイストレーナーと歌手としてのキャリアをスタートさせました。
その当時はスタジオワークやツアーのサポートをしながら専門学校でボーカルコースを担当し、
92年にゴスペルクワイアをスタートしました。

そもそもゴスペルを始めるきっかけはバークリー音楽大学で観たステージに大きな感動を受けた事もそうですが歌を指導する方法として仮説や検証をする中“ゴスペルをルーツに持つシンガーはなぜ上手いのか?また感動するのか?一流のプロと一緒にセッションする方法は?”など様々な理由をカバーするのがゴスペルでした。
日本の教育の問題を考える中、目的が曖昧であるというところに着目しました。
予備校のように学力別や分野別、そしてよい学歴を持ったあと何をするのだろう?という事をあまり教えられていないのではと思ったのです。
また歌う目的、おおげさかもしれませんが生きる目的を考えるにもゴスペルは良いとも考えました。
ミッキー吉野さんからも私の指揮するゴスペルを最初に観ていただいたあと”ゴスペルはその方向性がしっかりまっすぐだからよい”という言葉をいただきました。(ちなみにソウルマティックスという名前はミッキーさんからいただいたのです)
私自身、音楽で生きていきたいという漠然な理由の中、私はノーベル賞の授賞式の時にその代表者が述べた言葉“多くの勉強をして知性、教養を高める努力をして国や誰かのために貢献することはすばらしい”という言葉にショックを受けました。
通常、日本では自分の為に勉強しなさい、、と多く言われるのではないでしょうか?
またドイツの詩人であるリルケの“歌をうたって誰かを眠らせてやりたい、誰かのそばに坐っていたい、うたいながらあなたを揺すってそっと眠らせてあげたい”という詩に出会い私の人生は変わりました。
日本でゴスペルブームを引き起こしたきっかけとなった映画”天使にラブソングを
2”の中に“歌なんて仕事にならない、”と母親に言われたローリン・ヒルにウーピー・ゴールドバーグがある本を渡します。
それは同じくリルケの若き詩人への手紙という本でした。
私はアメリカの留学中から帰国しても
10年位はいつもこの本をカバンにいれていました。
あのマドンナもこの本がなければ今の私はなかったと言っていたと聞きました。

さてソウルマティックスを観て多くのプロの方やコンサートで出会った一般の方からもなぜあんなに力強い声がでるのだろう?
ステージング、オリジナル曲に感動したなどのご意見をいただきます。
現在、日本では多くのゴスペルの教室がありますがソウルマティックスのワークショップでは声、選曲(年間、最先端の曲をさらに吟味して
30曲ぐらいはお教えします)、ステージングなど様々な角度からゴスペルを指導しています。
また
10年以上の親友であるママアイウォントシングで世界中にファンを持つ、ニューヨーク在住のリチャード・ハートリーとの交流により私をはじめ、ソウルマティックスのメンバーは世界でもトップクラスのゴスペルの妙技を学んでいます。
長年、私は音楽の専門学校にて副校長を勤めており、様々なボイストレーナーと出会いましたが私のような公的なトレーニングを受けた現役のミュージシャンとして歌を歌い、英語を話し、そしてプロのボイストレーナーであり、ゴスペルディレクターであり、作曲家であるという存在はあまり出会うことはありませんでした。
五木ひろしさんから
mink、松浦亜弥さん、Skoop On Somebody、ミッキー吉野さん、そしてジャズの大御所である渡辺香津美さんなど、ジャンルを問わずトップミュージシャンの方々から高い評価をいただいているのはとてもうれしく、私の弟子たちが私の指導法の正しさの方向性を証明してくれています。(もちろんまだまだ勉強の身でもあります!)
その声の正しさを証明した出来事としてはボストンに留学中のメンバーがマライヤ・キャリーのツアーに参加した事や(場渡りといわれるステージのどこで歌うかを知らされただけでリハーサルもなく、ぶっつけ本番だったそうですが普段のトレーニングがあったので問題なかったそうです)、
2005年に行った、ニューヨークのツアーにてリチャード・ハートリーのアルバムレコーディングではソウルマティックスのメンバーは現地のクワイアメンバーではなくマイクの前に立たされました。
またダニー・マクラーキン等、トップアーティストからもとても高い評価を頂き現地のシンガー達にも絶賛されたのです。
これが専門学校生のメンバーにより構成された
2006年のアポロシアターにて、初の東洋人ゴスペルグループのメインアクトとしての出演につながりました。
そして
20073月には全米を代表するゴスペルワークショプオブアメリカというゴスペル協会(カーク・フランクリンやダニー・マクラーキン、カート・カーなど、ほとんどアーティストが参加している協会です)に招待され歌う機会を得ました。
2曲を演奏したのち会場の2000人を越えるゴスペル関係者はすべてスタンディングオベーションで私たちを称し、会長が私を同協会の日本の代表者に迎えたいとステージの上で発表しました。(大きな政治力もあるのでなるかならないかは置いておき、そう言っていただいただけでとても名誉なことと思っています。)

プロの方からも評価していだいている声ですが私が指導している発声法は大きく以下の
5つに分かれます。
1.耳(内的聴力のトレーニング)
2.呼吸(現在日本ではこれに多くを割きますが欧米では共鳴に重点を置く場合が多いようです)
3.声帯とその周りの軟骨のトレーニング(低音と高音と声帯のストレッチ)
4.共鳴(楽器を左右する大切な要素)
5.視覚にて体や顔の使い方を学ぶ
これらの項目にそってシンプルなエクササイズを丁寧に反復していきます。

この方法は実際に私に試して同時に今までの弟子たちにも試していきました。
私は昔、地声でA位をのどを絞めて発声していたのが今ではC#位までは楽にでるようになりました。
もちろん声帯の長さや太さがありますのでベースの声帯を持つ人はでませんがそれ以外の男性メンバーは楽にBくらいを出します。
通常、私はプライベートレッスンを専門学校の研究生以外お受けしておりませんがご希望でソウルマティックスのメンバーが個人レッスンを行うクラスもあります。
(横浜国際ゴスペルフェスティバルでは私がマスタークラスで診てさし上げています)

さて多くのゴスペル歌手は小さい時から教会で見よう見真似で歌いはじめます。
私がバークリーで学んだのはまず一番大切なのは“耳”ということです。
そう考えると教会で見て聴いて学ぶゴスペルシンガーが自然にあのような強い声がでることは想像できます。
日本人は日本語の特徴として音で表現するのであまり強弱をつけません。
もちろん狭い環境からくるものだと思いますが普段から大きな声で話す習慣がありませんでした。
当初はゴスペル歌手が使う力強い声は彼たち特有のものかと思っていましたが声や体を楽器ととらえて物理学的に解剖学的に(学術的な知識があるわけではありませんが)考えるとまだまだ使われていない筋肉や方法があることが分りました。
私はまず低音をしっかり鍛え、同時に裏声を使い高音も鍛えていきます。
ポップスの発声法ではあまり低音や裏声を指導する方は少ないようです。

そして上記の
5つの要素のエクササイズを与え反復練習させます。
今まで発声は腹式呼吸にて腹筋のトレーニングに比重をかける為、ただ強くかき鳴らすギターのようにのどを痛め、音域や強さはあまり変わらない場合の多く見受けられました。
しかし声帯のトレーニング、そして呼吸法、共鳴、耳、体の使い方をゆっくりと行い同時に低音域で歌える歌をしっかり歌えるようにしてきたのがソウルマティックスの声を作った方法です。
ワークショップではお一人お一人の声を見て差し上げる時間はありませんが通常ソウルマティックスのメンバーが代々木では基本的に全員参加し、メンバーのリハーサルをかねて一緒に歌い、声をお聞かせします。
譜面はほとんど使わずに歌ってパートを教えます。(アメリカのクワイアのように)
だからこそ早くそして現地で覚えた英語のように歌えるのです。

初心者の方ももちろん大歓迎ですし、現在も歌をステージで歌うのは初めてという方も多数参加されています。
年に
2回コンサートを行いますが参加費は無料です。
それ以外にもキャナルシティ博多や横浜の元町ストリート、大阪・天宝山のコンテスト等でのイベントに参加していただく場合もあります。

東京の代々木でのアドバンスコースではゴスペルをさらに深く勉強したい、もっと沢山曲を歌ってみたい、自分でグループをやっているが曲をもっと知りたい、、指揮法や教え方を学びたいなど、今のクワイヤーに物足りない方やプロや指導者の方にきていただけたらと思いスタートさせました。
現在は様々なクワイアで歌ってこられた方々が多数で長い方で
10年ほど通われています。

ゴスペルはずっと長く歌える自分も人も元気にするすばらしい音楽です。
クリスチャンの方も参加されていますが多くの方は宗教を持たない方たちです。
しかし言葉や詩の意味を大切に愛を歌い人々に喜びを届け平和を祈る気持ちで歌っています。
そして何よりも楽しく!思ったより長かったことと思います(笑)

最後までお付き合いくださいましてありがとうございます。
興味がある方は是非一度見学にいらしてください。

ディレクター
池末 信